福祉の豆知識:第4章

1:基本となる法律は身体障がい者福祉法です

身体障がい者福祉法は、身体障がい者の更生を援助し、その更生のために必要な保護を行い、もって身体障がい生活の安定に寄与するなど、その福祉の増進を図ることを目的として作られた法律です。身体障がい者に対する援護では、社会的更生を図ることが最も大切なことであるとされています。医療では、身体に障がいを有する者の肉体的障がいを除去、軽減させることで、機能、能力の障がいを除去軽減せしめることを主たる目的とするリハビリテーション医療(更生医療)が主であると定義づけられています。

2:身体障がい者の定義とは

身体障がい者福祉法において「身体障がい者」とは、法律で定める一定以上の身体障がいがある18歳以上の者であって、都道府県知事から身体障がい者手帳の交付を受けたものをいう、と定義されている。

  • ~参考~
  • (1)18歳未満の者については、児童福祉法によりほぼ同様の措置が講ぜられる
  • (2)18歳未満の者でも身体障がい者手帳は本法により交付されるので、身体障がいの有無、程度は、この法律により認定される

3:身体障がい者福祉施策実施の主体は

この法律による援護の実施機関は居住地の福祉事務所を管轄する都道府県知事または市町ですが、援護事務は福祉事務所長に委任されています。

【1】都道府県
地域で生活する身体障がい者の福祉施策を推進するうえで都道府県は重要な役割を担っており、具体的には次のようなことが都道府県によって行われています。

  • 1)身体障がい者の更生援護のため身体障がい者更生相談所の設置
  • ~参考~
  • (1)身体障がい者更生相談所(主として18歳以上の身体障がい者を対象)
  • (2)知的障がい者更生相談所(主として18歳以上の知的障がい者を対象)
  • (3)児童相談所(18歳未満の児童に関するあらゆる問題を対象)
  • 2)身体障がい者手帳の交付
  • 3)身体障がいの程度を診断する医師及び更生医療を担当する医療機関及び医師の指定
  • 4)身体障がい者相談員の任命

【2】市町村
市町村は、住民に最も身近な行政単位であり、きめ細かな福祉サービスの提供が可能であるところから、身体障がい者福祉施策の実施主体として位置づけられ、次のような事業が市町村によって行われています。

  • ├(1)更生医療(費)の給付
  • ├(2)補装具の交付(修理)
  • ├(3)日常生活用具給付等事業

4:身体障がい者手帳の交付を受けるには

手帳は、申請に基づいて交付されるものであり、福祉施策の利用を希望する場合は申請し、法に定める身体障がい者であることの認定を受けることが必要です。手帳には、障がい名・障がいの程度等級等が記載されており、これに基づき更生医療や補装具の給付をはじめとする身体障がい者福祉法及びこれに基づく各種制度の利用が可能となります。

【1】対象者
次の(1)から(5)に掲げる障がいを有する者で、その障がいの程度が1級から6級に該当するもの(「身体障がい者障がい程度等級表」)

  • ├-(1)視覚障がい
  • ├-(2)聴覚又は平衡機能障がい
  • ├-(3)音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障がい
  • ├-(4)肢体不自由
  • ├-(5)内部機能障がい(心臓、腎臓、呼吸器、膀胱若しくは直腸、小腸又はヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能障がい)

【2】申請方法等
都道府県知事の指定を受けた医師による診断書、意見書、本人の写真を添えて、福祉事務所長(福祉事務所を設置しない町村の場合は町村長)を経由して都道府県知事へ身体障がい者手帳交付申請書を提出します。

【3】その他
寝たきりであるなど、その他病状から移動が困難で指定医師への受診ができない場合には、市町村の実施する在宅重度身体障がい者訪問審査事業や身体障がい者更生相談所の巡回相談を利用する方法があります。また、障がいの内容によっては、期間を定めて再認定を受ける必要がある場合があります。

5:更生医療(費)が受けられます

身体障がい者が更生のために必要とする医療(更生医療)が給付されます。なお、医療の給付が困難なときはそれに要する費用が支給されます。具体的には、身体障がい者本人の申請に基づいて、厚生労働大臣の指定する医療機関にて必要な医療の給付が行われます。手続きとしては、更生医療給付申講書および別記の添付書類により、居住地を管轄する福祉事務所へ申請します。更生医療の給付の決定がなされると、ただちに更生医療券が交付されますが、この交付が決定通知となっています。申請者は、この医療券を指定医療機関に提出して治療を受けることになります。但し、医療費は、本人及びその扶養義務者の所得に応じて自己負担する額が決められます。次の点に留意をする必要があります。

  • ├-(1)一部自己負担の有無の確認
  • ├-(2)医療給付の範囲は医療券に記載されている範囲であること
  • ├-(3)治療方針を変更する必要があるときは、その申請が必要
  • ├-(4)有効期限の延長を要するときは、継続申請が必要

6:補装具の交付又は修理が受けられます

身体障がい者からの申請に基づき、盲人安全杖、歩行補助杖、眼鏡、義眼、点字器、補聴器、人工喉頭、義肢、装具、車椅子、電動車いす、歩行器、座位保持装置、頭部保護帽、収尿器、ストマ用装具が交付又は修理されます(福岡県の場合、「身体障がい者(児)補装具の交付・修理をするには」のホームページ参照)。

7:重度身体障がい者日常生活用具給付等事業があります

在宅の重度身体障がい者や在宅の重度障がい児が、日常生活をより円滑に行えるよう、必要に応じて日常生活用具が給付・貸与されます。介護保険の要介護者などについては、介護保険による貸与・購入費の支給が優先して行われます(表1)(福岡県の場合、「重度障がい者(児)の日常生活用具の給付などは」、「SPコード専用読取機『スピーチオ』」のホームページ参照)。

  • ~参考~
  • 重度の障がい者とは
    次の I から IV までの1つに該当するもの(政令の表現はこのとおりではありません)。
  • I .下表(1)から(7)までに規定する身体の機能の障がい若しくは病状又は精神の障がいが2つ以上存する
  • II .下表(1)から(7)までに規定する身体の機能の障がい若しくは病状又は精神の障がいが1つ有し、かつ、それ以外の国民年金の2級程度の障がいが重複する場合であって、その状態が(1)から(7)までと同程度以上と認められる程度
  • III .下表(3)から(5)までに規定する身体の機能の障がいが1つ存し、それが特に重度であるため、(3)から(5)までの他の障がいが併せて存することにより、II.と同程度以上と認められる程度
  • IV .(6)又は(7)に規定する身体の機能の障がい、病状又は精神の障がいが1つ存し、それがII.と同程度以上と認められる
    • (1)両眼の視力の和が0.04以下
    • (2)両耳の聴力レベルが100dB以上
    • (3)両上肢の機能に著しい障がいを有するもの又は両上肢のすべての指を欠くもの若しくは両上肢のすべての指の機能に著しい障がいを有する
    • (4)両下肢の機能に著しい障がいを有するもの又は両下肢を足関節以上で欠く
    • (5)体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障がいを有する
    • (6)(1)から(5)までに掲げるものの外、身体機能の障がい又は長期にわたる安静を要する病状が(1)から(5)までと同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度
    • (7)精神の障がいであって、前各号と同程度以上と認められる程度

日常生活用具の障がい区分別種目及び性能(視覚障がい用と各障がい者共通用の一例)【表1】
種目障がい及び程度性能重度
身体障
がい者
重度障
がい児
(1)視覚障がい者用
視覚障がい者用ポータブルレコーダー視覚障がい2級以上音声等により操作ボタンが知覚又は認識でき、かつ、DAISY方式による録音並びに当該方式により記録された図書の再生が可能な製品であって、視覚障がい者が容易に使用し得るもの
盲人用時計視覚障がい2級以上。なお、音声時計は、手指の触覚に障がいがある等のため触読式時計の使用が困難な者を原則とする視覚障がい者が容易に使用し得るもの 
点字タイプライター視覚障がい2級以上(本人が就労もしくは就学しているか又は就労が見込まれる者に限る)視覚障がい者が容易に使用し得るもの
電磁調理器視覚障がい2級以上並びに重度又は最重度の知的障がい児・者視覚障がい者等が容易に使用し得るもの
盲人用体温計(音声式)視覚障がい2級以上(盲人のみの世帯及びこれに準ずる世帯)視覚障がい者が容易に使用し得るもの
点字図書主に情報の入手を点字によっている視覚障がい者(別途定めあり)点字により作成された図書
盲人用体重計視覚障がい2級以上(盲人のみの世帯及びこれに準ずる世帯)視覚障がい者が容易に使用し得るもの
視覚障がい者用拡大読書器視覚障がい者であって、本装置により文字等を読むことが可能になる者画像入力装置を読みたいもの(印刷物等)の上に置くことで、簡単に拡大された画像(文字等)をモニターに映し出せるもの
歩行時間延長信号機用小型送信機視覚障がい2級以上視覚障がい者が容易に使用し得るもの
点字ディスプレイ視覚障がい及び聴覚障がいの重度重複障がい者(原則として視覚障がい2級以上かつ聴覚障がい2級)の身体障がい者であって、必要と認められる者文字等のコンピュータの画面情報を点字等により示すことのできるもの 
視覚障がい者用活字文書読上げ装置(商品名スピーチオ)視覚障がい2級以上文字情報と同一紙面上に記載された当該文字情報を暗号化した情報を読み取り、音声信号に変換して出力する機能を有するもので、視覚障がい者が容易に使用し得るもの スピーチオについては「お役立ち情報/スピーチオについて」ページで紹介しています
(2)各障がい者共通用
火災警報器障がい等級2級以上並びに重度又は最重度の知的障がい児・者(火災発生の感知及び避難が著しく困難な障がい者のみの世帯及びこれに準ずる世帯)室内の火災を煙又は熱により感知し、音又は光を発し屋外にも警報ブザーで知らせ得るもの
自動消火器同上室内温度の異常上昇又は炎の接触で自動的に消火液を噴射し初期火災を消火し得るもの
8:特別障がい者手当等支給制度があります

【1】特別障がい者手当
在宅の重度障がい者に対し、その重度の障がいゆえに生ずる特別の負担の一助として手当を支給することにより重度障がい者の福祉の向上を図ることを目的とする手当。実施主体は都道府県・市及び福祉事務所を設置する町村。対象は20歳以上であって、政令で定める程度の障がいの状態にあるため、日常生活において常時特別の介護を必要とするような在宅の重度の障がい者で都道府県知事・市長及び福祉事務所を管理する町村長の認定を受けた人。これらの手当は、対象となる障がいが障がい年金と同様に身体障がい者手帳や療育手帳の対象障がいに限らないため、身体障がい者手帳や療育手帳は必ずしも必要ではありませんが、手帳の障がい内容によっては、認定診断書を省略することができる場合があります(福岡県の場合、「特別障がい者手当を受けるには」のホームページ参照)。

【2】心身障がい者扶養共済制度
対象者は、(1)身体障がい者手帳1~3級を所持する人、(2)知的障がい者(児)、(3)精神または身体の障がいで、前2項と同程度と認められる人(障がい者手帳がない人などは医師の診断書が必要)。保護者の加入要件は、65歳未満で、特別な疾病や障がいがないこととなっています(福岡県の場合は、「心身障がい者扶養共済制度に入るには」のホームページ参照)。

9:支援費制度という新しい制度があります

【1】支援費制度とは
社会福祉基礎構造改革の一つとして、障がい者福祉サービスについては、利用者の立場に立った制度を構築するため、これまでの行政がサービスの受け手を特定し、サービス内容を決定する制度から、新たな利用の仕組み「支援費制度」が立ち上げられました。すなわち、この支援費制度においては、障がい者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービスの提供を基本として、事業者との対等な関係に基づき、障がい者自らがサービスを選択し、契約によりサービスを利用する仕組みとなります。これにより、事業者は、行政からの受託者としてサービスを提供していたものから、サービス提供の主体として、利用者の選択に十分応えることができるようサービスの質の向上を図ることが求められることになります。支援費制度の意義をまとめれば、

  • ├-(1)自分の意思でサービスを選択できる
  • ├-(2)利用者のサービス購入者・消費者としての権利性が高まる
  • ├-(3)利用者の選択により競争原理が働き、サービスの質の向上が図られる

    【2】支援費制度に移行するサービスを申請できる方
  • ├-(1)身体上の障がいがある18歳以上の者であって身体障がい者手帳の交付を受けた人
  • ├-(2)18歳以上の知的障がい者(知的障がい者地域生活援助は、15歳以上の者)
  • ├-(3)18歳未満の身体障がい児又は知的障がい児の保護者
  • ※介護保険の対象になる方は、従来どおり介護保険が優先します

【3】対象となるサービス
在宅で利用できる在宅サービス(居宅生活支援)と、施設に入所または通所して利用する施設サービス(施設訓練等支援)があります(表2)。

【表2】
障がい者福祉サービス身体障
がい者
知的障
がい者
身体障
がい児
ホームヘルプサービス(居宅介護)身体障がい者居宅介護知的障がい者居宅介護児童居宅介護
デイサービス(通所)身体障がい者デイサービス知的障がい者デイサービス児童デイサービス(障がい児デイサービス事業)
ショートステイ(短期入所)身体障がい者短期入所知的障がい者短期入所児童短期入所
グループホーム(地域生活援助) 知的障がい者地域生活援助 
視覚障がい者対象ではあん摩、はり、きゅう等職業についての知識技能、訓練を行う施設身体障がい者更生施設知的障がい者更生施設 
身体上の著しい障がいのため常時介護を必要とし、家庭での介護が困難な最重度の障がい者を入所させ、治療及び養護を行う施設身体障がい者療護施設  
身体障がい者で雇用困難又は生活に困窮する人を対象とし、必要な訓練を行い、職業を与えて自活させる施設特定身体障がい者授産施設特定知的障がい者授産施設/知的障がい者通勤寮 
家庭において日常生活を営むのに支障のある障がい者が自立した生活を営む施設身体障がい者福祉ホーム知的障がい者福祉ホーム 
療育、医療、教育、職業訓練、授産などを行うとともに、在宅の障がい者や家族の相談や指導にも応じ、また、障がいの原因の探求や治療と予防を図るための研究をする総合的な国が管理する唯一の福祉センター 国立コロニー 

【4】介護保険との関係
身体障がい者療護施設は、介護保険適用除外施設となっており、入所者は介護保険の適用を受けません。介護保険の対象となる人については、介護保険のサービスを受けることが優先されます。

10:在宅身体障がい者対策に次のものがあります

  • 【1】障がい者社会参加総合推進事業
  • 【2】市町村障がい者社会参加促進事業
  • 【3】バリアーフリーのまちつくり活動事業
  • 【4】市町村障がい者生活支援事業
  • 【5】在宅重度障がい者通所援護事業
  • 【6】身体障がい者自立支援事業
  • 【7】全国障がい者スポーツ大会
  • 【8】国の委託事業

11:社会復帰促進対策として次のものがあります

  • 【1】施設入所者
  • 【2】雇用促進対策事業
  • 【3】公共施設内での売店設置の優先措置
  • 【4】専売品販売の許可

12:その他、次のようなサービスがあります

  • 【1】公営住宅の優先入居
  • 【2】JR等運賃の割引
  • 【3】航空運賃の割引
  • 【4】NHK放送受信料の減免
  • 【5】点字郵便物等の郵便料の減免
  • 【6】税制施策(福岡市の場合、「税金・公共料金の減免について」のホームページ参照)