ソフトコンタクトレンズ(SCL)について
- コンタクトレンズ(CL)について勉強してみましょう(一部眼科医向け)。
はじめに
ソフトコンタクトレンズ(SCL)について
ハードコンタクトレンズ(HCL)について
コンタクトレンズ(CL)のケアと特殊レンズについて
1:ソフト系コンタクトレンズについて勉強しましょう | 2:現在主流の1日使い捨てのソフトコンタクトレンズはどんな種類と仕様があるでしょうか? | 3:1日使い捨てのソフトコンタクトレンズをどう処方するのでしょう | 4:ソフトコンタクトレンズのフィッティングがよいとは? | 5:Dk値 Dk/L値って何でしょう?
上記2でも説明しましたが、市場の8割はSCLですので、まずSCLから勉強しましょう。大別して(1)従来型の含水性SCLと(2)新開発の非含水性のSCLの2種類があります。
(1)含水性SCL
SCLに含水性を持たせる理由は、柔軟性と水を介しての透気性を期待するからです。しかし、得られる角膜上酸素分圧は高ガス透過性のRGPのHCLに比べるとかなり低くなります。そこで、含水性SCLで十分な透気性を得るためには、さらに含水率を高くするか、SCLを薄くする必要があります。でも、反面、含水率が高くなると水分が蒸発しやすく乾燥感が強くなり、薄くすると破れやすくなるなどの欠点が生じます。また含水率が高くなればなるほど素材内に蛋白質が侵入しやすいと言われています。つまり、高含水にすればするほど、装用感はよく・酸素透過性がよくなりますが、乾燥しやすい・蛋白質がつきやすい・破れやすい欠点がでてきます。よって、高含水であればよいというものでもありません。よって、SCLは患者さんの状況に応じて高含水のSCLか低含水のSCLかを選択することになります。
一方、SCLの材質によって、マイナスイオン性と非イオン性に分けられます(注)。 コンタクトレンズの汚れの原因の1つとなる蛋白質はプラスイオンに帯電していることが多く、蛋白質はマイナスイオン性のSCLに吸着しやすくなります。汚れを少なくするには、非イオン性のSCLがよいと言えるでしょう(但し、脂質は非イオン性SCLに付着しやすいと言われています)。しかし、角膜はマイナスイオンに帯電していますので、マイナスイオン性のSCLの方が角膜に固着しにくい利点があるでしょう。患者さんの目の状況に合わせて、含水率の程度とイオン性の有無の組み合わせを考えることになります。表で含水率の程度とイオン性の有無の組み合わせによるFDA分類を紹介しましょう(商品として1日使い捨てSCLのみを書き込んでいます)。 (注)但し、シード社ではシード2WeekPureという両イオン性のソフトコンタクトレンズ(SCL)が発売されています。

(2)非含水性SCL
シリコーンという材質は水(涙)よりもより多く酸素を透す材質のため、含水率は低いのですが、酸素透過性がよいということになります。そこで透気性の高いシリコーン素材に多少でも含水性を持たせ、臨床応用を可能としたのがシリコーンハイドロゲルのCLです。低い含水率でも高い透気性を発揮するため乾燥感が少なく、非イオン性で汚れにくいと言われています。高い酸素透過性、快適な装用感、比較的乾燥しにくいなどの特長を有し、従来の含水性SCL とガス透過性のHCLの長所を併せ持った新しいコンタクトレンズといえるでしょう。欧米では30日連続装用コンタクトレンズの認可を受けたものもあます。今後コンタクトレンズの主流となる可能性が高い新世代の素材です。
| 商品名 | ピュアビジョン | Oオプティクス | アキュビュー アドバンス | アキュビュー オアシス | 2ウィークプレミオ |
|---|---|---|---|---|---|
| 製 造 | Bausch &Lomb | CIBA VISION | Johnson &Johnson | Johnson &Johnson | メニコン |
| 中央厚 -3D,mm | 0.09 | 0.08 | 0.07 | 0.07 | 0.08 |
| 含水率 | 36% | 24% | 47% | 38% | 40% |
| Dk/L | 110 | 175 | 86 | 147 | 161 |
| FDA分類 | GroupⅢ | GroupⅠ | GroupⅠ | GroupⅠ | GroupⅠ |
| 装用方法 | 1週間交換 連続ないし 終日装用 | 1ヵ月交換 連続ないし 終日装用 | 2週間交換 終日装用 | 2週間交換 終日装用 | 2週間交換 終日装用 |
どんな種類と仕様があるでしょうか?
FDA分類のIVのタイプが多いようですね。
※表中のDk値 Dk/L値について(KD値 Dk/L値って何でしょう?)は後述します
| 製造 | 商品 | FDA 分類 | 含水 ・帯電 | BC | P | DIA | 中心厚 | 含水率 | Dk値 | Dk/L値 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Ultimate1Day | I | 低含水・非イオン | 8.7/9.0 | 近視のみ | 14 | 0.07 | 38% | 7.93 | 11.3 |
| 2 | Dailies AQUA | II | 高含水・非イオン | 8.6 | 近視のみ | 13.8 | 0.1 | 69% | 26 | 26 |
| 3 | Bausch&Lomb Medalist1DayPlus | II | 高含水・非イオン | 8.6 | 近視のみ | 14.2 | 0.09 | 59% | 22 | 24.4 |
| 4 | 1dayBIOMEDICS | IV | 高含水・イオン | 8.6 | 近視のみ | 14.2 | 0.075 | 55% | 19.7 | 26.3 |
| 1day aquair | ||||||||||
| 5 | 1・DAY ACUVUE | IV | 高含水・イオン | 85/9.0 | 近視・遠視 | 14.2 | 0.084 | 58% | 28 | 33.3 |
| 1・DAY ACUVUE MOIST | ||||||||||
| 6 | メニコン1DAY | IV | 高含水・イオン | 8.6 | 近視のみ | 14.2 | 0.075 | 55% | 19.7 | 26.3 |
【表中・製造会社名】 1:ヤマト樹脂光学 2:CIBA VISION 3:Bausch&Lomb
4:CooperVision 5:Johnson&Johnson 6:メニコン
1日使い捨てSCLのみならず一般的なSCLのFDA分類を紹介しておきます。
FDAグループ分類によるSCL・シリコーンハイドロゲルCLの分類

まずBCベースカーブがポイントですね。多数の1日使い捨てのソフトコンタクトレンズの中から、患者さんの角膜の曲率半径に合うBCのコンタクトレンズを選ぶことになります。しかし、ほとんどのメーカーがBCは1種類だけにしています。選択の余地がありません。
もちろん一つの種類の1日使い捨てのソフトコンタクトレンズに複数のBCが用意されているものもあります(ヤマト樹脂光学の場合8.7mmと9.0mm、Johnson&Johnsonの場合8.5mmと9.0mm)。ゆるいカーブの方が角膜に固着しないので、ゆるいカーブの9.0mmが第一選択でしょう。患者さんの角膜のカーブ(曲率半径)が強い場合は8.7mmや8.5mmのBCを選ぶことになるでしょう。
P度数は、患者さんの屈折力によってまちまちです。DIA(直径)13.8mm、14.0mm、14.2mmの3つがあります。患者さんの角膜直径により必然的に決まります。あとはFittingがよければOKです。
- (1)レンズが角膜輪部(周辺部)の全体を覆い、角膜の中央にあること。
- (2)レンズの動きがよいこと(角膜に固着しないこと)です。
コンタクトレンズを選ぶ条件として酸素透過性がひとつの条件となります。ただ、酸素透過性ばかりが問題視されて、涙液交換などの他の重要な条件も忘れてはいけません。さて酸素透過性の指標に、Dk値(酸素透過係数)やDk/L値(酸素透過率)が用いられます。
Dk値は、コンタクトレンズ材料の酸素透過性を示す物性値です。Dk値が同じでも、レンズの厚みが薄いほうが透過しやすいため、Dk値をレンズの厚みで割った値(Dk/L値)も比較の指標にします。
含水性ソフトコンタクトレンズの場合は、Dk値は含水率が高いほど酸素透過性が高い傾向があります。一方、シリコーンハイドロゲルソフトコンタクトレンズは、シリコーンが水(涙)よりも酸素を透すため、含水率は低くても酸素を多く透します。
- 【主な参考資料】
- ・日本眼科医会生涯教育講座第51回「コンタクトレンズの臨床」
- ・ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社運営サイト
コンタクトレンズ教室 - ・コンタクトレンズメーカー各社のホームページ・製品資料

