ハードコンタクトレンズ(HCL)について

1:ハードコンタクトレンズの処方のコツ…フィッティングとは? | 2:ハードコンタクトレンズの処方に必要な検査 | 3:コンタクトレンズの選択と処方 | 4:円錐角膜のハードコンタクトレンズ処方のコツ

1:ハードコンタクトレンズの処方のコツ…フィッティングとは?

これに関しては詳しく説明してあるサイト(ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社運営)  コンタクトレンズに必要な検査と処方 監修:小玉祐司先生(小玉眼科医院)を参考にしてください(内容は眼科医向けです)。

2:ハードコンタクトレンズの処方に必要な検査

HCLの最適な処方を得るには、先ずHCLを取り囲む環境について把握しなければならなりません。HCLを取り囲む環境とは、角膜、結膜、眼瞼、涙液ですが、その他に瞳孔径なども処方の参考になります

(1)角膜

まず角膜中央約3mmの屈折力(レフラクト)と角膜屈折率(ケラト)をオートレフケラトメーター(TOPCON社)で角膜形状解析を行います。(下図)
角膜

角膜形状測定装置(SK-2000、サンコンタクトレンズ社)で角膜中心部の角膜曲率半径と角膜周辺部までの角膜曲率半径を測定します。(下図)
角膜形状解析

角膜形状解析

ビデオケラトスコープ(TMS、TOMEY社)で角膜の形状を等高線的に表現し、曲率の分布をカラーマップで把握します。(下図)
角膜形状解析

角膜形状解析

余談:角膜の中央部から周辺部に移行するにつれて角膜の曲率は次第に大きくなり、扁平化します。この扁平化の把握もHCLの処方のポイントです。特にHCLのレンズサイズ決定には重要な指標になります。また扁平化はSCLにおけるエピセリアルスプリッティングの発生率にも関与しており、シリコンハイドロゲルソフトコンタクトレンズにおけSEAL(superiorepithelia1arcuatelesion:エピセリアルスプリッティングと同一疾患)の発生率にも関与している可能性があり重要です。

角膜内皮細胞観察:角膜内皮細胞は細隙灯顕微鏡の高倍率で観察することもできますが、スペキュラーマイクロスコープを用いると、観察や記録や分析が簡単に行えます。角膜内皮細胞の状態は、CL選択や装用指導の際に参考にします。

(2)結膜 アレルギーの状態は上眼瞼結膜を観察して判断します。アレルギーの状態はCLの選択を左右するので重要です。眼球結膜における瞼裂斑の有無はHCL処方の際、レンズサイズやデザイン選定の参考になります。

(3)眼瞼 眼瞼の形状は個人差が大きく、HCL処方の際にはレンズサイズやベベルデザイン選定の参考になります。

(4)涙液 涙液の状態はシルマー試験(第1法)、綿糸法、涙液層破壊時間測定、涙液三角観察、DR-Iによる涙液干渉像観察などによって知ることができます。涙液の量や質はCLの選択やデザインの選定の参考になります。

3:コンタクトレンズの選択と処方

(1)ハードコンタクトレンズ(HCL)
トライアルレンズのべ一スカーブ(以下BC)は、角膜乱視が少ない場合は角膜曲率半径の中間値よりややフラットなものを選択します。乱視が強くなるほど、さらにフラットなものを選択します。レンズサイズ選択の指標には角膜曲率半径、角膜径、瞳孔径、瞼裂幅、眼球突出度などがあります。

ハードコンタクトレンズ(HCL)サイズ選択の指標
HCLサイズ9.0mm前後8.5mm前後8.0mm前後
角膜曲率半径8.00以上7.70mm前後7.30mm以下
角膜径 12mm以上11.5mm前後11.0mm以下
瞳孔径6.0mm以上4.0から5.0mm前後3.0mm以下
瞼裂幅10mm以上7から8mm前後6.0mm以下
眼球突出16mm以上14mm前後12mm以下

しかし、角膜周辺部の扁平化が人きい眼においてはレンズサイズが小さいもの、逆に扁平化が少ない眼ではレンズサイズが大きなものを選択します。ベベルデザインの選定においては、角膜周辺部の扁平化が大きい眼にはベベル幅が広くエッジリフトが大きなものを選択し、扁平化が小さな眼にはベベル幅が狭くエッジリフトが小さなものを選択します。瞼裂斑がある場合はレンズサイズの小さなものを選択します。このようにして選択したトライアルレンズを実際に装用してもらい、最終的にフルオレセインパターンを見てフィッティングを判定します。フルオレセインパターン判定の際、角膜中央部にレンズを持ってきてフラットかパラレルかステイープかを見ますが、それだけではなく瞬目によるレンズの動き、静止位置、ベベル幅、ブレンド状態、エッジリフトをチェックします。

トライアルレンズの装用

エッジリフトのチェックの方法は、0.1mm程度に絞ったスリット光を45。の角度から照射し、レンズ下端における光束のズレをチュックします。光束1本分のズレが理想的です。それでも動きが悪ければ、MZ加工(レンズ周辺部のフロント側に溝を付ける)を施します。逆に上方に停止するようなら、レンズサイズを小さくするか、ベベル幅が狭くエッジリフトが小さいレンズに変更します。アレルギーがある場合は、レンズが汚れやすいのであまり高Dk値のレンズは選択しません。角膜内皮細胞に変化が認められる場合は高Dk値のレンズを選択し、装用時間を短くするように指導します。涙液が少ない場合はベベル幅が狭くエッジリフトが小さなレンズを選択し、必要に応じてブレンドをやや強めにかけます。

(2)ソフトコンタクトレンズ(SCL)
これまでに長期間従来型SCLを使用していて、特にトラブルもなく、角膜内皮細胞にも異常が認められない場合は、引き続き従来型SCLを処方でよいでしょう。従来型SCLを使用していて、破損・紛失が多かったり、レンズが汚れやすくてレンズの寿命が短い場合、あるいは巨大乳頭結膜炎や角膜血管新生が認められたり、角膜内皮細胞数が減少している場合は、使い捨てSCL(ワンデーディスポーザブルSCL、頻回交換SCL、定期交換SCLを含む)あるいはHCLへの変更を考えます。

新規SCL希望者は全て使い捨てSCLを勧めることが多くなりました。角膜曲率半径の中間値に0.6mm~1.0mmを加えた値に近いBCのトライアルレンズを選択して装用してもらいます。最近の使い捨てSCLにおいてはBCの選択幅が少ないのですが(BCが1種類のものもある)、上記基準に従ってBCを・選択し、装用してもらった上でフィッティングを判定します。

レンズの種類によって異なりますが、先ずは瞬目によるレンズの動きを観察し、スムーズにO.5-1mm程度の動きがあることを確認します。また静止位置において角膜全面をSCLがカバーしていることを確認します。次に上下左右を見させて、眼の動きにレンズがスムーズに従い、大きなズレが生じないかを見ます。下方視させて上眼瞼を持ち上げ、レンズエッジが結膜を圧迫していないかを見るとともに、上眼瞼を用いてレンズを下方へ押し下げて、それがスムーズに元の位置へ帰って来るかを確認します。同じことを上方視させて確認します。

アレルギーがある場合は、タンパクによる汚れ付着が少ない非イオン性素材のグループIかグループⅢのレンズを選択することになるでしょう。ドライアイがある場合は含水牲の少ないグループIのレンズを選択することになるでしょう。点眼薬の併用が必要な場合は、防腐剤のレンズヘの沈着が少ないグループIのレンズを選択することになるでしょう。角膜血管新生や角膜内皮細胞数の減少が認められた場合は、高含水性素材のグループⅡあるいはグループⅣのレンズを選択するでしょう。

エピセリアルスプリッテイング(あるいはSEAL)は近視度数が強く、角膜径が小さく、角膜周辺部の扁平化が大きい眼に生じやすく、そのような条件を有した眼には、レンズが硬いグループIのレンズやシリコーンハイドロゲルの処方は避けた方がよいようです。角膜周辺部の扁平化が極端に小さいラウンドコルネアと呼ばれる眼の場合、このような眼にHCLではレンズサイズを大きくしたり、ベベル幅を狭くエッジリフトを小さくして対応します。しかし、HCLでの対応が難しい場合はSCL処方の方が無難でしょう。

4:円錐角膜のハードコンタクトレンズ処方のコツ

筆者は日本大学医学部眼科名誉教授崎元卓先生の指導で、BCはまず7.2から7.6までのスティープなレンズを選択します(場合によっては7.8も選ぶことがありますが)。成書によっては6.0を第一選択とする先生もおられます。サイズは9.0がベストと考えています。欧米人のように大きい目での人であれば、9.2もいいかもしれません。所謂Large size flat fit methodとは少し異なる方法で処方を行なっています。

    当院でよく処方する円錐角膜用のコンタクトレンズとして次のものがあります。
    【サンコンタクトレンズ社】
  • ・サンコンマイルドⅡ
  • ・サンコンマイルドパーム(以前のサンコンマイルドⅢ)
    【日本コンタクトレンズ社】
  • ・ローズK
    【主な参考資料】
  • ・日本眼科医会生涯教育講座第51回「コンタクトレンズの臨床」
  • ・ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社運営サイト  コンタクトレンズ教室
  • ・コンタクトレンズメーカー各社のホームページ・製品資料