円錐角膜は、中学生から高校生の年頃に、急速に進行する目の病気です。進行してしまうと、コンタクトレンズでしか視力が出ない、コンタクトレンズが痛くてつけられない、といった状態になります。今の医療では、円錐角膜の進行を止めることができますので、円錐角膜の早期発見・早期治療が何より重要です。大島眼科病院では『進行を止める治療』と『見える喜びを取り戻す治療』の両面からサポートします。
円錐角膜って、どんな病気?
円錐角膜は、角膜が徐々に変形する病気です。“円錐”角膜という病名のとおり、角膜が“円錐”状に変形します。このため、極端な乱視が生じ、視力が低下します。ごく軽度の円錐角膜であれば、メガネやソフトコンタクトレンズで視力矯正が可能ですが,進行するとハードコンタクトレンズを使わないと視力矯正ができなくなります。もっと進行すると、ハードコンタクトレンズを装用することができなくなります。ここまで進行すると、視力をあきらめるか、角膜移植という手術をするか、という状態になります。

この病気の特徴として、いわゆる“思春期”に進行することが多いことが挙げられます。中学生や高校生で、だんだんと視力が低下してくる、メガネやコンタクトレンズの度数が変わる、コンタクトレンズがつけづらくなる、などの症状が出てきた場合には、円錐角膜が疑われます。
20年ほど前は、円錐角膜であることがわかっても、何もすることができませんでした。現在の医療では、進行している円錐角膜であることがわかれば、進行を抑える治療をすることができます。また、円錐角膜では、良好な視力を得るにはハードコンタクトレンズが必要でも、コンタクトレンズが痛くて付けられないことは、今でも問題になっています。このような患者さまに対して、現在の医療では、特殊レンズを用いて無理なく視力矯正ができるようになっています。このように、以前ではどうしようもなかった円錐角膜を、現在の医療では治療する道が開けています。円錐角膜は、早期発見・早期治療をすることによって、円錐角膜の患者さまの将来を大きく変えることができます。私たち治療をする側から申し上げたいのは、「円錐角膜の患者さまを逃さず発見したい、時期を逸することなく治療を提供したい」ということです。
大島眼科病院で行うことができる円錐角膜の治療
大島眼科病院で行う円錐角膜の診療は、適切に目の状態を評価することから始めます。視力や角膜の形を定期的に検査して、進行しているかどうかをきちんと判断します。そのため、円錐角膜と診断された患者さま、円錐角膜が疑われる患者さまには、定期的な通院をお願いしています。通院の間隔は、検査結果や患者さまの年齢などを考慮して提案します。特に、進行する可能性の高い中学生・高校生の患者さまには、頻繁な通院をお願いすることがあります。

♦当院で取り扱いのある強膜レンズはこちら → ビューノ シュプリーム(https://ophtecs.co.jp/products/vueuno-supreme)
担当医師
森重 直行(大島眼科病院副院長、愛知医科大学客員教授、角膜移植学会理事)*円錐角膜に関する研究業績はこちら→(1-4)
西田 輝夫(山口大学名誉教授)
よくあるご質問
Q1. 診断されたばかりで不安です。必ず失明する病気ですか?
A. いいえ、適切に管理・治療を行えば、失明することは極めて稀な病気です。 以前は進行を待つしかありませんでしたが、現在は**「角膜クロスリンキング」**によって進行を食い止めることが可能になりました。早期に発見し、適切な治療プランを立てることが最も重要です。
Q2. 「角膜クロスリンキング」は痛いですか?また、効果は一生続きますか?
A. 点眼麻酔を使用するため、手術中の痛みはほとんどありません。手術後は強く痛みが出ることがありますので、痛み止めで対応します。術後数日間はしみるような痛みや異物感が続くことがありますが、痛みが強くなることはありません。多くの場合、1回の治療で長期的な進行抑制効果が期待できますが、5%程度の患者さまでは、クロスリンキング治療後に円錐角膜の進行がみられることがあるといわれているため、定期的な経過観察が不可欠です。
Q3. ハードコンタクトレンズが痛くて耐えられません。他に方法はありますか?
A. 当院では、最新の強膜レンズ(ビューノ® Supreme)を取り扱っています。 これは角膜(黒目)に直接触れず、白目の部分で支える大型のレンズです。角膜との間に涙の層を作るため、従来のハードレンズのようなゴロゴロ感が劇的に軽減され、重度の不正乱視でも安定した視力を得られるのが特徴です。

A . 強膜レンズ(ビューノ® Supreme)。通常のハードコンタクトレンズよりも大型です。
B .強膜レンズを実際に装用しています。
C .前眼部OCTという検査機器を使って、眼の断面像を撮影しています。白矢印が角膜です。黄色矢印の先端が強膜レンズの内側です。強膜レンズは角膜に直接接触していません。
Q4. 角膜移植はどのようなタイミングで検討するのですか?
A. コンタクトレンズの装用が困難になってしまった場合や、コンタクトレンズを用いても視力矯正が困難になった場合、角膜の中央に強い濁り(角膜混濁)が出てしまった場合に、角膜移植を検討します。 当院では、患者さまの角膜の状態を見極め、最も適切な術式を選択します。まずは移植を回避するための治療を優先し、最終的な手段として角膜移植を考えています。
Q5. 治療費は保険診療ですか?
A. 治療内容によって異なります。
- 検査・診察・通常のコンタクトレンズ・強膜レンズ・角膜移植: 基本的に保険診療の対象です。
- 角膜クロスリンキング: 現在、日本では多くの場合「自由診療(自費)」となります。 ※具体的な費用については、患者さまの状態や使用するレンズの種類により異なりますので、診察時に詳細な見積もりをお渡ししています。
Q6. 仕事や学校はどれくらい休む必要がありますか?
A. 治療内容によりますが、目安は以下の通りです。
- クロスリンキング: 術後2〜3日は安静をお勧めしています。
- 強膜レンズ: 通院でのフィッティング(調整)のみですので、休む必要はありません。
- 角膜移植:手術のため1週間程度入院していただきます。退院後も、日常生活に制限があることがあります。定期的な通院は必須です。
Q7. クロスリンキングの治療効果を教えてください。
大島眼科病院での角膜クロスリンキングの成績をご紹介します。
2020年1月から2025年11月までの間に、大島眼科病院で角膜クロスリンキング治療を受けた患者さまの、平均角膜屈折力(角膜の形を数値化したもの)を調べました。角膜クロスリンキングを受けた患者さまにおいて、手術前過去1年間に、角膜の変形がどれだけ進んだか、という円錐角膜の進行の平均スピードを調べたところ、1年間で平均2.9D(ジオプター)の進行がみられました。円錐角膜研究会の指針では、1年間に1D以上の進行がみられた場合にクロスリンキングを行うべき、とされていますが、手術前には角膜の変形の進行、すなわち円錐角膜が進行していました。

クロスリンキング術後で、角膜の変形がどれくらい進行しているか、ということを、手術後受診のたびに角膜屈折力を測定し、その変化量を計算したところ、手術後1か月の時点では、平均2.0D変化している、すなわち変形が進んでいるという結果が出ています。しかしながら、手術後3か月、6か月と経過していくと、その平均値はどんどん小さくなり、0Dに近づいています。手術前は1年間で平均2.9Dも変化していた角膜の形が、1年以上たっても0に近い、ということは、手術前から角膜の変形が進行していないことを示していて、角膜クロスリンキング治療によって円錐角膜の進行を止めることができている、といえると思います。
円錐角膜に関する研究業績
1. Morishige N, Wahlert AJ, Kenney MC, Brown DJ, Kawamoto K, Chikama T, et al. Second-harmonic imaging microscopy of normal human and keratoconus cornea. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2007;48(3):1087-94.
2. Morishige N, Shin-Gyou-Uchi R, Azumi H, Ohta H, Morita Y, Yamada N, et al. Quantitative analysis of collagen lamellae in the normal and keratoconic human cornea by second harmonic generation imaging microscopy. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2014;55(12):8377-85.
3. Morishige N, Murata S, Nakamura Y, Azumi H, Shin-Gyou-Uchi R, Oki KT, et al. Coordinated Regulation of Palladin and alpha-Smooth Muscle Actin by Transforming Growth Factor-beta in Human Corneal Fibroblasts. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2016;57(7):3360-8.
4. Morishige N, Magome K, Ueno A, Matsui TA, Nishida T. Relations Among Corneal Curvature, Thickness, and Volume in Keratoconus as Evaluated by Anterior Segment-Optical Coherence Tomography. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2019;60(12):3794-802.

病院概要

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