コンタクトレンズ(CL)のケアと特殊レンズについて
- コンタクトレンズ(CL)について勉強してみましょう(一部眼科医向け)。
はじめに
ソフトコンタクトレンズ(SCL)について
ハードコンタクトレンズ(HCL)について
コンタクトレンズ(CL)のケアと特殊レンズについて
1:コンタクトレンズのケアについて | 2:遠近両用コンタクトレンズ | 3:虹彩付きコンタクトレンズ・カラーコンタクトレンズ | 4:当院で処方可能なコンタクトレンズは次のものがあります
ディスポーザブル、頻回交換SCLが国内に登場してからSCL使用者は急速に増加しています。新しくきれいなSCLに頻回に交換することにより、レンズ汚れによる眼合併症が減少することが期待されましたが、減少傾向はみられていません。そして、その原因として、不適切なレンズの使用法とレンズケアが考えられます。そこで、今回はSCLの洗浄・消毒法を確認するとともに、その注意点について紹介しましょう。※参考画像:不適切なレンズの使用で、角膜に感染症を引き起こした目
(2)学消毒法の進歩
SCLの消毒は、1971年にアメリカ食品医薬品局(FDA)に含水SCLが承認されたときに始まり、熱消毒システム、チメロサールやクロルヘキシジンなどの防腐剤を利用した化学消毒システム、過酸化水素システムを経て1988年(国内は1996年)にマルチパーパスソリューション(MPS:multi-purpose solution)が発売されました。現在、SCLのケアシステムとして、アメリカでは90%以上、国内でも80%以上をMPSが占めるといわれています。次の表で商品を紹介します。

(3)MPS
MPSは、洗浄、すすぎ、消毒、保存の働きをひとつの液で果たすよう設計された溶液です。
1:消毒効果
現在、MPSの消毒剤・防腐剤として主に使用されているのは塩化ポリドロニウムとポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)であり、これらは分子量が大きいため、レンズ内部には取り込まれにくく、微生物の細胞壁を選択的に攻撃しますが、眼組織細胞に対しては安全性が高いとされています。アメリカではFDAの承認基準テストをクリアすることによりMPS、MPDS(Multi-purpose Disinfecting solution)、No-Rub(擦り洗い不要)と分類されます。スタンドアロンテスト(stand alone test)は、溶液の微生物に対する抗菌効果をみるもので、テスト細菌として緑膿菌、黄色ブドウ球菌、セラチア・マルセッセンス、真菌はカンジダ・アルビカンス、フザリウム・ソラニを使用し、基準をクリアするためには、溶液は指定された時間内に各細菌を3-log、全体では5-log死滅させ、各真菌を1-log死滅させ、時間内に生育がみられてはいけません。レジメンテスト(regimen test)は、微生物をレンズに接種し、製品ラベルに指示されたとおりにケアを行ったときの抗菌効果を調べるテストで、すべての微生物を5-log死滅または除去しなければいけません。No-Rubの表示を得るためには、すすぎと保存だけで5種類の微生物を5-log死滅または除去し、人工汚れが添加されたときも影響を受けず、洗浄効果も示すことが条件となります。なお、アカントアメーバに対しては、効果を判定する評価基準はなく、現行のほとんどのMPSはアカントアメーバに対し効力は弱く、特にシストに対しては効果がありません。しかし、最近、アカントアメーバのシストにも有効といわれるmyristamidopropyl dimethylamine(Aldox)を含む製品(Opti-Free Express with Aldox)が海外市場で販売されています。
2:洗浄効果
初期のMPSには洗浄剤を含まないものもあり、溶液に浸漬する前にクリーナーによりレンズを洗浄する必要があります。汚れを機械的に除去しやすくするためにはポリマービーズを含んでいるもの(オプテイ・フリーデイリークリーナー)や、脂質汚れを除去するためにアルコールを含むもの(ミラフロー)もあります。クリーナー使用後はすすぎを十分行う必要があります。最近のMPSは溶液中にポロキサミン、ポロキサマーなどの少量の界面活性剤を含んでいるものが多く(前出表)、レンズ表面の脂質汚れを乳化させ除去しやすくし、タンパク等を再付着しにくくしています。さらに、界面活性剤には細菌細胞膜を破壊し、微生物を洗い流し、抗菌効果を増強する働きもあります。また、テトロニック(Tetronic)は水濡れを良くし、装用感を改善し、緩衝剤として使用されるクエン酸はリゾチームと結合し、CLからこれを除去する働きがあります。
(4)過酸化水素
過酸化水素システムでは過酸化水素濃度3%(w/v)が使用され、消毒効果は非常に高いのですが、眼組織に対しても毒性が強くなります。しかし、中和されると水と酸素に分解され無害となります。2種類の中和方法が使用されています。(1)白金触媒を使用するもので、中和が完了するのに6時間要します。(2)中和剤を使用する方法で、過酸化水素中に徐放性の錠剤を入れる方法(1ステップ)と、過酸化水素からレンズをいったん取り出し、チオ硫酸ナトリウムで中和を行う方法(2ステップ)があります(表)。過酸化水素には洗浄効果と漂白作用もありますが、消毒前にはレンズをクリーナーで洗浄し、生理食塩水ですすぎ、中和完了後レンズ装着前にもすすぎを行います。

(5)洗浄・消毒の注意点
1:消毒
1)アカントアメーバ アカントアメーバー角膜炎は決して発生頻度の高い眼合併症ではありませんが、患者の約90%がCL使用者で、SCLが90%以上を占めるという報告もあり、難治性で高度の視力障害を残すことがあります。
熱消毒がアカントアメーバのシスト、トロフォゾイトに対しては最も有効ですが、現行のMPS、過酸化水素システムはほとんど効果がありません。対策としては、アメーバに接触する機会を少なくし(水道水を使用しない)、手指の洗浄、レンズとレンズケースの清潔にも注意する必要があります。※参考画像:アカントアメーバに感染した角膜で輪状膿瘍を形成ししています。
2)レンズケース内にCLが存在するとき レンズの保存ケース溶液中にSCLを入れた後の溶液では、抗菌活性が消失する製品がみられ、溶液に人工汚れを添加すると、製品によっては約50%効力が低下するものもあります。対策としては、レンズケース内の溶液は毎日新しいものに交換し、溶液の継ぎ足しをしない、溶液ボトル内が汚染されないよう注意する。
3)溶液ボトル開封後の効力と温度の影響 一度開封されたボトルの溶液の効力は徐々に低下し、3ヵ月後には効果がなくなる製品もあります。溶液を保管、使用する温度によっても抗菌効果に変化がみられ、低温(4℃)や高温(30℃)では効力が低下する製品があります。対策としては、一度開封したボトルの溶液は1ヶ月以上使用しないようにし、保存は室温で行うことでしょう。
2:洗浄
1)こすり洗い SCLを実際にこすり洗いをしている人は50%程度といわれますが、こすり洗いをしないと、レンズ内に取り込まれたタンパク等の汚れは除去されにくく、消毒効果もかなり低下します。
2)すすぎ 約33%の人はすすぎをしていないといわれますが、すすぎを十分行えばレンズの汚れの90%は除去され、レンズ表面に残るクリーナー、酵素剤、汚れ、細菌等を洗い流し、こすり洗いだけで微生物を1-log除去し、すすぎを加えると2-log除去されます。また、すすぎの量を多くすると消毒効果は格段に高まります。こすり洗いとすすぎは時間をかけると効力が低下する製品がありますが、対策としては、こすり洗いとすすぎは時間をかけて十分に行うべきでしょう
3)レンズケース レンズケースの40~75%は汚染されているといわれ、ケース内の微生物はバイオフィルムを形成し、ケース表面に頑固に固着し、ほとんどの消毒システムに抵抗します。対策は、レンズケースをケア溶液で十分にすすぎ、毎日乾燥させるだけではなく、毎週CLクリーナーで洗浄し、十分すすぐべきでしょう。定期的(3ヶ月に一度)に新しいケースに交換することも大切です。
(6)生体安全性
最近のケアシステムは、ケアをより簡便にし、しかも生体安全性を維持するよう設計されていますが、現実にはケアシステムが原因と考えられる眼障害がみられています。MPSによる角膜ステイン発生についての報告も多く、PHMBをべ一スとしたMPSとFDAグループ IIのレンズとの組み合わせで角膜ステインの発生率が高く、シリコーンハイドロゲルレンズとMPSでも角膜ステイン発生がみられます。
薬剤を含む溶液が眼組織と接触するときは、常に細胞を傷害する可能性があり、細胞毒性の基礎的研究に関する報告も多く、SCL使用者に原因不明の眼障害をみたときはケアシステムの影響を疑う必要があります。眼障害の原因としてケア溶液が疑われるときの対策としては、(1)他のケアシステムに変更する:他のMPS、過酸化水素、熱消毒など、(2)レンズの種類を変更する:FDAグループ IIレンズから他グループレンズ、シリコーンハイドロゲルレンズから含水SCL、あるいは1日使い捨てSCL、またはHCLへ変更する。また、装着前に清潔な生理食塩水でレンズをすすぐのも効果的です。
(7)そのほか
ケア溶液成分の影響と考えられるレンズ自身の規格変化、変色、着色などもみられることがあります。例えば、レンズを新しくせず、他のMPSや過酸化水素に変更すると、レンズ内に沈着物が形成され、カタラーゼを一部の虹彩カラーレンズに使用するとレンズ内層に泡が形成され、シリコーンハイドロゲルCLに過酸化水素システムを使用するとレンズ表面形状の変化を起こすことがあります。対策としては、使用しているケアシステムの確認と教育を繰り返し行うことです。
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虹彩付きコンタクトレンズまたはカラーコンタクトレンズは、用途によって二つに分けられます。一つは、虹彩のない人や瞳孔が開きっばなしの人、角膜が白く濁った人などのためのもので、医療用のコンタクトレンズです。現在国内では入手困難ですので、必要な場合は輸入するしかありません。もうひとつは、目の色を変え、整容あるいは単なるおしゃれ(美容)を目的として使用されるコンタクトレンズです。最近ではファッション感覚で若者を中心にとても人気がありますが問題点が多く、単なるファッションとしてコンタクトレンズを使用することはあまり薦められません。
主な取り扱いコンタクトレンズ一覧 ※平成22年4月現在
| コンタクトレンズの種類 | メーカー |
|---|---|
| ハードコンタクトレンズ [コンベンショナルレンズ] | |
| メニコンZ メニコンEX メニコンセレスト EX-UV EX-UVトーリック(乱視用) うるるUV うるるUVレンチクラール(乱視用) RZX ローズK2(円錐角膜用) プラスビューⅠ・Ⅱ(遠近両用) マイルドⅡ マイルドパーム マイルドEpi サンコンマイルドⅡバイフォーカルタイプ(遠近両用) サンコンマイルドEpiバイフォーカルタイプ(遠近両用) EXO ブレスオーハード シードS-1 マルチフォーカルO(遠近両用) クリアライフ(遠近両用) |
メニコン メニコン メニコン 日本コンタクト 日本コンタクト 日本コンタクト 日本コンタクト 日本コンタクト 日本コンタクト 日本コンタクト サンコンタクトレンズ サンコンタクトレンズ サンコンタクトレンズ サンコンタクトレンズ ボシュロム・ジャパン 東レ シード シード 旭化成アイミー |
| ソフトコンタクトレンズ [コンベンショナルレンズ] | |
| ソフトS ソフト72 ソフトMA ソフトα スカイ 虹彩付ソフト マルチフォーカルソフト(遠近両用) ロートIQ(乱視用) スポーツビュー ソフトトーリック(乱視用) |
メニコン メニコン メニコン 日本コンタクト シード シード シード ロート製薬 旭化成アイミー 旭化成アイミー |
| 1日交換終日装用ソフトコンタクトレンズ | |
| メニコン1DAY メダリストワンデープラス乱視用 デイリーズアクア フレッシュルックデイリーズ(カラーレンズ3色) デイリーズアクアトーリック(乱視用) フォーカスデイリーズプログレッシブ(遠近両用) ワンデーアキュビュー ワンデーアキュビューモイスト ワンデーアキュビューディファイン(3種) ワンデーアキュビュー乱視用 |
メニコン ボシュロム・ジャパン チバビジョン チバビジョン チバビジョン チバビジョン ジョンソン・エンド・ジョンソン ジョンソン・エンド・ジョンソン ジョンソン・エンド・ジョンソン ジョンソン・エンド・ジョンソン |
| 頻回交換ソフトコンタクトレンズ [1週間] | |
| メダリストプレミアオーバーナイト アキュビュー | ボシュロム・ジャパン ジョンソン・エンド・ジョンソン |
| 頻回交換ソフトコンタクトレンズ [2週間] | |
| メダリストプラス メダリストマルチフォーカル(遠近両用) メダリスト66トーリック(乱視用) メダリストプレミア乱視用 2ウィークピュア ロートIQ14トーリック(乱視用) ロートIQ14バイフォーカル(遠近両用) フォーカス2ウィーク フォーカストーリック(乱視用) 2ウィークアキュビュー アキュビューアドバンス アキュビューオアシス アキュビューオアシス(乱視用) |
ボシュロム・ジャパン ボシュロム・ジャパン ボシュロム・ジャパン ボシュロム・ジャパン シード ロート製薬 ロート製薬 チバビジョン チバビジョン ジョンソン・エンド・ジョンソン ジョンソン・エンド・ジョンソン ジョンソン・エンド・ジョンソン ジョンソン・エンド・ジョンソン |
| 定期交換ソフトコンタクトレンズ [1ヶ月間] | |
| マンスリーファイン Oオプティクス ビューノⅠ | シード チバビジョン オフテクス |
- 【主な参考資料】
- ・日本眼科医会生涯教育講座第51回「コンタクトレンズの臨床」
- ・ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社運営サイト
コンタクトレンズ教室 - ・コンタクトレンズメーカー各社のホームページ・製品資料

